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「作稀勢」

法話   2017/04/29
2017年04月29日放送

今年の大相撲春場所では横綱稀勢の里が涙の逆転優勝を果たしました。ふだん大相撲を観ることのない私でも、千秋楽での取り組みはテレビにくぎ付けになりました。弱冠十八歳、史上二位の早さで新入幕をはたしたものの、その後はライバルたちに先を越され、それでも一途に精進を重ね、横綱にまで上り詰めたのでした。
稀勢の里の四股名は、師匠の故鳴門親方がつけられたものです。この四股名は、親方が現役時代、親しくされていた、大本山永平寺の秦慧玉禅師に「作稀勢」読み下して『稀なる勢いをなす』、という言葉を頂き、将来横綱になり得る力量の弟子が現れたら「稀勢の里」と名付けようと決意したことによります。
その四股名をつけられた弟子は、時間はかかりましたが師匠の見た通り横綱になり、大勢の人々に感動と勇気を与える相撲を見せてくれているのです。名前のもととなった作稀勢の言葉を贈った秦禅師は、大の相撲好きで有名でした。
私の記憶では、禅師さまが、駒澤大学の教授時代、相撲部の顧問を務められていたころ、集合写真に学生力士の真ん中で、ふんどし姿で腕組みをして収まっている姿を見たことがあります。さらには大相撲のテレビの生中継で、しばしば砂破りで熱心に観戦している姿が映り、全国の曹洞宗の和尚さんたちに、「また、禅寺さまが相撲を観ていらっしゃる」と言われていたものです。
奇しくも今年三十三回忌を迎えた秦禅師さまのお言葉が、年月を隔てて花開いているのを見ると、禅寺さまと故鳴門親方の願いが成就したかのように感じるものです。
生きている私たちの積み重ねている行いや、ことばや、願いは時が流れても消えてしまうものではありません。必ず時を経て実を結ぶことになります。
形見とて何か残さん春は花夏ほととぎす秋のもみぢ葉 有名な良寛さんの辞世の句であります。

札幌市 真龍寺
飯田 整治

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