法話

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「禅師と饅頭」

法話   2017/03/11
2017年03月11日放送

大正時代初期のお話でございます。
あるお寺へ、大本山永平寺より禅師様がご法要に参られました。
少し離れたお寺の御老僧が禅師様と親交が深く、是非ご挨拶に伺いたいが、どうしても都合がつかず、代わりに弟子の小僧さんに菓子折りを持たせ挨拶に遣わせました。
小僧さんはお寺へ到着し、すぐに禅師様のお部屋へ通されましたが、緊張で挨拶もできず、禅師様の前に出されている饅頭をじっと見つめて、禅師様の話に頷くのが精一杯でした。
禅師様は小僧さんにどんなお坊さんになりたいかと聞いたそうですが、小僧さんは緊張で何も答えられず、黙っていると、禅師様は自分の饅頭を手に取り、小僧さんの手のひらに饅頭を一つ乗せ「お前さん、坐禅一筋に生きなさい」とおっしゃられたそうです。
その瞬間、小僧さんの緊張はハッと解け、目の前のとても偉いお方が、自分の師匠と同じ事をおっしゃられた、これは間違いない自分は坐禅の道で生きようと心に決めたそうです。
小僧さんは、師匠の遣いとして、朝から長い道のりを歩き、緊張の中このお寺へやってきた。甘い饅頭などは普段滅多に口にできないだろうし、師匠の御老僧は坐禅一筋のお方である。
目の前で姿勢を正し、黙って座っている小僧さんを同事の心で理解された禅師様は、小僧さんが好きであろう甘い饅頭を布施して緊張をほぐし、進むべき道を愛語で示されたわけでございます。
あの日禅師様から饅頭を頂き、坐禅一筋に修行された小僧さんは、後に大本山永平寺七十八世の大禅師猊下となられ、全国各地で出会った小僧さんにはいつも優しく温かいお言葉をかけ続けておられたそうです。

札幌市 大昌寺
佐藤 文尊

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